龍が如く7 光と闇の行方 – セガゲームス
ハローワークでジョブチェンジ!
「龍が如く」シリーズの最新作。これまで龍が如くといえばアクションゲームでしたが、『龍が如く7 光と闇の行方』はジャンルがRPGに変更されているのが特徴です。新主人公・春日一番による、新たな人間ドラマが展開されます。
本作の舞台は、横浜・伊勢佐木異人町。空き缶を集めてお金を稼いだり、ハローワークでジョブチェンジをしたりと、RPGでお馴染みの要素を現代風にアレンジしているのがポイント。昔ながらのゲームシステムながら、新鮮な気持ちでプレイできます。
また、シリーズでお馴染みのプレイスポットも充実。「ダーツ」や「パチスロ」といった定番のミニゲームのほか、改造カートで街を爆走する「ドラゴンカート」が新登場。ほかにもさまざまなミニゲームで遊べます。シリーズをプレイしたことがない方にもおすすめのPS4ゲームソフトです。
同シリーズを象徴するキャラクター「桐生一馬」の物語は前作『龍が如く6 命の詩。』で終わりを迎えた。そこで新たなる主人公として据えられたのが「春日一番」である。彼がとある出来事からホームレスにまで身を落とし、そこから「いかにして成り上がるか」というのが序盤のテーマとなる。そこに幼き日に夢中になり「春日一番」の人格の根っことなった「ドラゴンクエスト」や法律の「グレーゾーン」などのサブテーマを織り込みながら、物語は展開されていく。
メインストーリーを終えたあとの感想としては、過去作とノリが違いすぎて寒々しく思う場面があったり、「結局、あいつはどうなった?」など言いたいことはいろいろある。急にキャラの知能指数が低下したような強引な展開があったり、突然現れる便利な能力を持ったキャラが物語上重要な役割を果たすなど、不自然な部分も多い。なかには唐突な爆発オチからの場面転換など、不自然を通り越してギャグに片足を突っ込んでいるような場面もあった。これも「龍が如く」らしさといえばその通りなのだが、いつものようにどうにも気になる部分が見受けられる。
その一方で、良いシーンはこのうえないほど良い、というのが本作の魅力となる。特に春日一番が人並みの暮らしを手に入れる過程については、今までの作品にはなかったタイプの感動であった。そして何よりも、物語の軸はあくまでも「春日一番の物語」であり、最後までブレることはなかったという点を評価したい。出演者たちの熱演もあって、微笑ましくなる場面や、恐怖を覚える場面、涙を誘われる場面など印象的な場面は多様であり、終わってみればシリーズ中でも屈指の物語であった。
まったく個人的な見解であるが、本作をプレイする前は「春日一番」のクセが強すぎる見た目のせいか「桐生一馬」や『JUDGE EYES:死神の遺言』の「八神隆之」のような主人公というには抵抗があった。しかし、本編を終えた今となっては彼が主人公で良かったと、心の底からそう思う。
ナンバリングを重ねるごとにしがらみが増え、躍動感を失いつつあったように思う本シリーズだが、メインとなるキャラが刷新された本作ではどのキャラクターたちも実に生き生きとしていた。直情的で義理人情に厚い「春日一番」のキャラクターは寡黙すぎるドラクエの勇者というより、むかしの少年漫画の主人公といったところなのだが、それが幸いして物語にダイナミックさが生まれている。物語の動かし方という観点から見ても、主人公として最適な人物だと言える。
|