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新型コロナの不安を『どうぶつの森』が癒やすワケ

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プレーヤーはマイペースで島を発展させていく NINTENDO

<長期的に家から出られなくても、任天堂の新作『あつまれ どうぶつの森』で外遊びしたり仲間と交流すればマインドフルネス効果が>

新型コロナウイルスの感染拡大で家から出られない昨今でも、自然に親しみDIY(日曜大工)的生活を楽しむ方法はある。ニンテンドースイッチ用の新作ゲーム『あつまれ どうぶつの森』に没頭すればいい。

<長期的に家から出られなくても、任天堂の新作『あつまれ どうぶつの森』で外遊びしたり仲間と交流すればマインドフルネス効果が>

新型コロナウイルスの感染拡大で家から出られない昨今でも、自然に親しみDIY(日曜大工)的生活を楽しむ方法はある。ニンテンドースイッチ用の新作ゲーム『あつまれ どうぶつの森』に没頭すればいい。

実際にプレーしている人々からは、癒やし効果があると歓迎する声が上がっている。幸せで脅かすものもないこの島で過ごせば、コロナ関連のニュースで頭がいっぱいにならずに済むということだろう。精神衛生の専門家からも、緩いストーリーやゲーム内で行う魚釣りや虫捕りなど、のんびりしたペースの活動には「マインドフルネス」に近い効果が期待できるとの見方が出ている。

「危機のただ中にある今、楽しめるものを見つけるのは本当に大切だ」と語るのは、若者の不安に関する著書のある臨床心理士のレジーン・ギャランティだ。「自分が楽しいと思える活動に取り組む時間があれば、全く先の見えない世界で自分を支える気晴らしになり得る。今回の危機において、自分にとって楽しく意義ある活動を見つけることはとても役に立つ」

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ギャランティは、テレビやインターネットからひっきりなしに流れてくるコロナ関連の暗いニュースが人々の不安の引き金を引く可能性を懸念する。「ニュースと距離を置いたり、ニュースの消費量を減らすのはいいことだ。つまり『どうぶつの森』のようなゲームに意識を向けることは、不安症状を悪化させることなく自分と向き合う優れた方法だ」と彼女は言う。「目下の状況では、(現実から)逃避しようとするのはまさに健康的な行為と言える」

現実逃避も時には必要

内面の不安に真正面からじっくり取り組むというのはセラピーの常道だが、それも時と場合による。認知行動療法を行う施設を運営するデブラ・キッセンは「最悪の事態が起こるという可能性」から目をそらすことも必要だと述べた。

「先の見えないことだらけな半面、やることがないという現状では、脳が大混乱を起こしかねない」とキッセンは言う。「人間は何かやることを脳に与えることで喜びを感じるからだ」

ゲームで気晴らしができることだけが心を癒やす効果につながるのではない。注目すべきは『どうぶつの森』がつくり出す世界だ。暴力は出てこないし、決まった筋書きもない。大まかな目標(ひたすら町や家を大きくし、ひたすら働いて無利子のローンを返済し続けること)はあるものの、日々の過ごし方はプレーヤーに任されている。

魚釣りや雑草抜き、花の水やりといった一見すると地味な活動も、実生活で簡単に外出できない現状では癒やしになり得る。ゲームの中でなら、戸外に出て充実した時間を過ごすことができるからだ。

「今は誰にとっても対処しなければならない課題が山積している。ほかの人より大きな負担を背負わされている人ももちろんいる」とゲーム作家のエバン・スコルニクは言う。「みんなが新作の『どうぶつの森』に飛び付いたのも無理はない。好きに動き回れる場所に行き、人と会い、素敵なものを作ったりするのは、多くの人にとっていい息抜きになっているのだろう。ほんの数カ月前までは当たり前だと思っていたのに、現状ではできないことが(ゲーム内では)できるのだ」

キッセンもギャランティも、ゲーム内で同じ動きを繰り返したり、心が安まる活動をすることは、意識を現在に集中することで心を落ち着けストレスをコントロールするマインドフルネスと相通じるものがあると考えている。プレーヤーが目の前の活動に集中し、今ここにいる自分を実感できれば、呼吸や周囲の環境に意識を集中するのと似た効果が期待できるというのだ。

「マインドフルネスとは、自分が選んだ心のよりどころとなるものに意識を集中することにほかならない」とキッセンは言う。「皿を洗うことで意識を集中できる人がいれば呼吸でできる人もいる。意識を集中してゲームの中の世界に働き掛ければ、十分マインドフル的な経験となり得る」

リアルで多様な近隣住民

他人との接触を制限されることによる孤独感を癒やす効果も期待できる。このゲームでは、ゲーム内キャラクター(主に近隣住民)にはそれぞれ性格が付与されている。偉そうな者もいれば、親切だったり内気な者もいる。また、町には多様なキャラが暮らす上に住民の出入りが常にあるので新たな交流も生まれる。

もちろんキッセンもギャランティも、精神的な健康を保つ効果という点ではゲーム内キャラとの交流よりもリアルな人付き合いに軍配を上げる。一方でスコルニクに言わせれば、ゲーム内キャラがこれほどリアルに感じられるのには理由がある。

「ゲーム制作者はプレーヤーが感情移入しやすいキャラクターをつくろうと努めている。そのほうが強い感情を引き出せるからだ」とスコルニクは言う。「プレーヤーが自分の行為に罪悪感を持つような作りになっているゲームもある。そして、映画の観客にそうした感情を引き起こすのは非常に難しい。行為に参加できないからだ」

『どうぶつの森』が与えてくれるのは、罪悪感ではなくもっと優しい感情だ。「『どうぶつの森』のように穏やかで心安らぐタイプのゲームの場合、ゲーム制作者がそうした手法に訴えるのは、プレーヤーがその世界のキャラとそれなりに強い感情でつながることが目的だ。(キャラを)リアルに感じさせ、また戻ってきてキャラたちと触れ合いたいと思わせるためだ」

理屈はどうあれ、『どうぶつの森』のような別世界に没入するのに今ほどぴったりなタイミングはない。日々の生活が少しでも楽に感じられるという限りにおいて。

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